10位:「風の谷のナウシカ」の裏話
風の谷のナウシカは、1984年に公開された作品。舞台は地球滅亡後の世界であり、腐海と呼ばれる毒の海に生きる人々の闘いを描いています。本作は映画企画に先立ち、漫画の原作を宮崎駿が手掛ける方式。壮大な作品を作ろうとして、生まれたものでした。
地球滅亡の理由は旧人類による争いであり、腐海が大気を浄化するまで、数千年はかかります。旧人類は大気が浄化されるまで眠りにつく事となり、旧人類の眠りを覚ます者として新人類を作りました。この新人類こそがナウシカ達であり、彼らは人造人間という事になります。
ナウシカは意図的に怖く作られており、巨人兵や王蟲は不気味な存在に見えます。巨神兵が王蟲を焼き払う場面は、「エヴァンゲリオン」の総監督を務める高野秀明が担当。エヴァと巨神兵の外観が似ている事は偶然ではありません。
また宮崎駿によるとナウシカのモデルは、日本の古典文学『堤中納言物語』に登場する「虫愛づる姫君」。名前はギリシア叙事詩『オデュッセイア』に登場する王女ナウシカに由来しています。
物語は手塚治虫などの漫画家から、マイケル・ジョン・ハリスンなどのSF作家からも着想を得ています。ナウシカ公開後も漫画の執筆は続けられ、苦悩の末に宮崎駿が作品を完結させたのは1995年の事。漫画も読む事で、ナウシカに違う印象を持つのではないでしょうか。
9位:「ゲド戦記」の裏話
ゲド戦記は、2006年に公開された作品です。アメリカの女流作家・アーシュラ・K・ル=グウィンのゲド戦記シリーズを、ジブリが映像化した作品です。少年アレンと大賢人ゲドの旅を通じ、混迷する時代を生き抜くためのメッセージを私達に投げかけます。
本作は宮崎駿の息子・宮崎吾朗が監督を手がけ、興行収入76.9億円を記録。この年の邦画1位を記録するなど、宮崎吾朗は華々しい記録を打ち立てたと思われました。ただル=グウィンは「原作を無視しており、私のみならず世界中の読者を馬鹿にしている」と批判しました。
原作は6巻まで存在し、映画は各巻の登場人物を1つのストーリーにまとめたもの。説明不足、原作にない父親殺しなど、良さを消すオリジナル展開は多数。作者は宮崎駿が監督を手掛けると思っていたようであり、制作過程で大きなズレがありました。
2024年には漫画「セクシー田中さん」の作者が、意向を無視してドラマ化された内容に立腹したのは記憶に新しい話。似たような話は20年近く前から、ジブリでも起きていた事は裏話として知る必要があるでしょう。
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